【阿部慎之助】日本一上手いインコース打ちの秘密

ジャイアンツ一筋のスーパーキャッチャー阿部慎之助。 
今回はこの打者について打撃理論を紹介する。

 |特徴と成績

    -体格・生年月日
        -身長/体重:180cm/97kg
        -生年月日:1979年3月20日
        -投打:右投左打 -ポジション:捕手(晩年はファースト)

    -特徴
        -強肩強打で打てる捕手として攻守共にジャイアンツを引っ張ったスター選手である

        -バットが内側から綺麗な軌道で出てくる打撃フォームが有名であり、内角打ちについてはプロが認める一級品の技術を持つ


        -プロ4年目には、4月に月間16本塁打を放ち、王貞治の球団記録更新、また1981年の門田博光選手(南海)、1994年の江藤智選手(広島)と並ぶ日本タイ記録を残した

    -主なタイトル・記録
        -首位打者(2012年)
        -打点王(2012年)
        -最高出塁率 (2012年)
        -最優秀選手(2012年)
        -ベストナイン(捕手部門:2002年、2007年 - 2014年)
        -ゴールデングラブ賞(捕手部門:2002年、2008年、2013年、2014年)

     -通算成績 (打撃)
年度 所属球団 試合 打席 打数 得点 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 盗塁刺 犠打 犠飛 四球 死球 三振 併殺打 打率 長打率 出塁率
2001 読 売 127 428 386 40 87 18 0 13 144 44 3 0 2 2 31 7 79 9 .225 .373 .293
2002 読 売 127 511 446 62 133 26 0 18 213 73 4 1 4 3 46 12 81 10 .298 .478 .377
2003 読 売 94 371 314 46 95 15 1 15 157 51 1 1 3 4 40 9 52 7 .303 .500 .392
2004 読 売 108 436 379 61 114 22 1 33 237 78 0 0 1 0 43 13 87 6 .301 .625 .391
2005 読 売 130 534 476 56 143 16 0 26 237 86 0 2 0 6 51 1 78 15 .300 .498 .365
2006 読 売 129 497 452 39 133 26 2 10 193 56 0 2 4 2 35 4 76 8 .294 .427 .349
2007 読 売 140 580 499 72 137 20 0 33 256 101 1 2 3 10 57 11 76 17 .275 .513 .355
2008 読 売 125 484 428 60 116 27 0 24 215 67 1 1 4 0 44 8 66 17 .271 .502 .350
2009 読 売 123 462 409 63 120 20 2 32 240 76 1 1 2 7 34 10 87 9 .293 .587 .357
2010 読 売 140 569 498 85 140 27 2 44 303 92 0 0 1 1 58 11 91 8 .281 .608 .368
2011 読 売 114 437 390 45 114 21 0 20 195 61 1 1 2 1 35 9 66 12 .292 .500 .363
2012 読 売 138 556 467 72 159 22 1 27 264 104 0 0 2 8 69 9 47 11 .340 .565 .429
2013 読 売 135 529 422 81 125 17 0 32 238 91 0 0 0 6 86 15 59 8 .296 .564 .427
2014 読 売 131 526 459 49 114 24 0 19 195 57 1 3 0 2 58 7 77 16 .248 .425 .340
2015 読 売 111 419 343 44 83 14 0 15 142 47 0 0 0 4 64 8 84 9 .242 .414 .370
2016 読 売 91 387 335 43 104 13 0 12 153 52 0 1 1 3 44 4 55 8 .310 .457 .394
2017 読 売 129 512 455 41 119 13 0 15 177 76 0 1 1 7 41 8 67 13 .262 .389 .329
2018 読 売 95 223 198 22 49 6 0 11 88 46 0 0 1 1 21 2 55 6 .247 .444 .324
2019 読 売 95 192 158 15 47 8 0 7 76 27 0 0 0 2 28 4 23 1 .297 .481 .411
通 算 2282 8653 7514 996 2132 355 9 406 3723 1285 13 16 31 69 885 152 1306 190 .284 .495 .368
(「一般社団法人日本野球機構公式HP」より引用)


|打撃理論

    -タイミングが最も大切。
    阿部選手いわく「現役時代に最も大事にしていたのは"タイミング"」と話している。
    最近の野球はツーシームやカットボールなど細かい変化や緩急でタイミングを外す投球が主流であるため、いかにタイミングを合わせて打つかが大切とのこと。
※これはタイミングを打撃の本質としている王貞治選手と同じである。
 <ゆったりと構えて、トップを作る阿部選手。バットを寝かせたり、腰も高めで楽な姿勢で待っている。>

    -内側からバットを出す。
    ボールを長く見て、タイミングを合わせやすくするためにバットを体の内側から出すように意識する。特に右肩(ピッチャー側の肩)が先に回ってしまわないように意識する。

    -ツイスト打法。
    この打法は阿部選手の代名詞である。練習では意識してツイスト打法を実施するが、試合では意識していないという。試合では意識してできるようなものではないため、無意識にできるくらい練習で体に覚え込ませているという。(こうすることでタイミングがくずれてもボールを当てることができる)
    具体的にはスイング時、ボールをミートする際に腰をキャッチャー側にひねる。阿部選手は中西太氏に教えてもらった指導法を自身の練習に組み込み自分のものにした。
※ただし、この打法はスイングする力が十分についていない、小学生や中学生にはおすすめできないとのこと。
<ツイスト打法の紹介動画。これを繰り返すことで体に覚え込ませる。>

|独自の練習

    -ストレートに対し、バットを内から出してなるべくキャッチャー寄りでミートし、真横にファウルを打つ。右肩(ピッチャー側の肩)が先に出てしまわないように注意してスイングする。
(こうすることで、バットを内から出すという癖が付く)
注意としては、横に打とうとバットを最後まで振り切らないのはNGである。あくまで自分のスイングの中で引きつけて打つことで、結果真横にボールが飛ぶということである。
※横に打つ練習(4:30あたりからです)
<阿部監督の始動動画。横に打つ指導を丁寧に実施している。>

|スイング参考動画

|所感

    -インコースのさばき方がプロ野球選手の中でもトップを争う上手さと言われている阿部選手。その技術の基礎となっているのがバットの軌道であると感じた。バットを内から出すように、極端な練習(真横に打つこと)を繰り返すことで、試合で無意識にできるまでに体に刷り込んでいるのである。
    そして単にバットを内から出して真横に打つのではなく、できるだけ実践のスイングに近い形で真横に打とうとしていることもポイントだろう。極端な練習は1歩間違えると、こなそうとして”練習のための練習”になってしまう。これを阿部選手は”試合のための練習”であると1球1球考えてスイングしているため、大いに見習いたいと感じた。


読んでいただき、ありがとうございました。

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