プロ野球史上1人しかなしえなかった3度の三冠王を獲得した落合博満。
<右方向への長打を放つ清原和博選手>
読んでいただき、ありがとうございました。
今回はパート(9)に引き続き、打撃理論を紹介する。
|パート(1)~(9)の振り返り
そのためには深いトップをつくること、ムダなく一直線に振り出すこと、大きなフォロースルーをとることが大切であると話した。
そのためには投手の動きとボールの軌道を"景色”としてみること。そしてバッターボックスの足場を常に同じ状態に整えることが大切であると話した。
そのためにはピッチャーの動きに対して始動を早めに取りゆとりを持つこと。そして意識は常に内角高めにおいておくことが大切であると話した。
構えてからスイングするまで、体の中心線は前後せず常に固定しておくこと。
自分のスイングができれば立ち位置はどこでもよい。ただ立ち位置を変えても自分のスイングは変えないよう意識する。
正しい壁の作り方としては、インパクトまでは壁を作ってしっかりボールを待つ。そして腕が伸びきったインパクト後はパワーを逃がすように壁を無くすことが大切である。
ボールに対しスムーズにバットが出るよう、トップからインパクトまでは捕手寄りの腕をたたみ、フォロースルーではその腕を上手く前に抜くイメージが大切である。
こうすることでバットのヘッドが下がらず、速球にも力負けせずスイングすることができる。
オープンスタンスのデメリットとなるコースを意識することで振り遅れが無くなり、力をためたスイングすることができる。
|打撃理論(10)「クローズドスタンスについて」
-今回は落合博満氏の第十弾である。野球人ならだれもが悩む、”スタンス”について落合氏の理論に迫っていこう。
-今回は前回のオープンスタンスに続き、クローズドスタンスについて、落合氏が話すそれぞれのメリットとデメリットについて紹介していきたい。
外国人選手に多いイメージだが、落合氏の考えるクローズドスタンスのメリット・デメリットについて見ていこう。
|クローズドスタンスのメリット
・アウトコースのボールに対して追いつきやすく、逆方向へ強い打球を打つことができる。
例えば清原和博選手の場合、バッターボックスでホームベースから離れた位置でクローズドスタンスで構えるようにしていた。
そうすることで清原選手の弱点であったインサイドのボールも、真ん中のコースのようにスイングできる。さらに外のボールに対してもクローズドスタンスの場合は外側に向かっていくようにスイングすることができ、逆方向への長打も打つことができる。
・右打者なら左投手、左打者なら右投手のボールが見やすくなる。
自分から見てアウトコース側からボールが来るため、よりボールが見やすくなるメリットがある。
|クローズドスタンスのデメリット
・構えた時にレフト方向への視野がほとんどなく、投手に対して斜めの確度で見なければならない。
このため、スクエアスタンスと比べて両目でしっかりボールを見ることができない。
・引っ張るスイングをした場合、パワーロスが大きくなる。
引っ張る際に、体をより閉じた状態から体の前のミートポイントまでバットを回す必要があり、よりスイング軌道が長くなることでパワーロスが大きくなる。
・軸足へ十分に体重を乗せることができない。
ボールに対して向かっていく打ち方であるため、トップをつくる際に軸足へ十分に体重を乗せずにスイングしてしまう可能性がある。
落合氏は、「クローズドスタンスで投手寄りの足をステップさせると、どうしても上半身の動きにつられて下半身も投手寄りに動き、軸足は伸びてしまう」と指摘している。
|落合氏のアドバイス
-打球はセンターから右方向をターゲットと考える(右打者の場合)
落合氏は「アウトコースすべてと、インコースの速い球は右中間へ打つ意識でいること。そして、インコースに来た緩い変化球に対しては左中間に引っ張ろうとする意識でいること。(右打者の場合)」と話している。
また軸足に体重を乗せるために「軸足にも十分なゆるみを持たせておきたい」とも話している。
-右中間方向にボールを押し返す意識(右打者の場合)
インサイドに投げられたボールに対して、引っ張ろうとするとグリップの出が遅く、詰まってしまうため、
落合氏は、「右中間方向にボールを押し返すようにグリップを出していかなければならない」と話している。
こうすることでクローズドスタンスのメリットを生かし、デメリットを抑えることである程度の結果は残せるのではないかと落合氏は話している。
以上のように、落合氏の理論(9)と(10)ではオープンスタンスとクローズドスタンスのメリット・デメリットを紹介してきた。
落合氏も、これらのスタンスは日々新しく生まれ、それぞれに対する理論も日々変化していくと話している。
落合氏の理論以外にも自分なりにしっくりくるスタンスを見つけ、改善を繰り返しながら、その特徴を最大限いかせるスイングを探すことも大切だろう。
|スイング参考動画
それでは、続編となる落合博満(11)もお楽しみに。
読んでいただき、ありがとうございました。
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