落合博満(12)バットはこう握れ!

プロ野球史上1人しかなしえなかった3度の三冠王を獲得した落合博満。 
今回はパート(11)に引き続き、打撃理論を紹介する。

 |パート(1)~(11)の振り返り


|打撃理論(12)「正しいバットの"握り方"」

-野球選手なら一度は考えたことがあるでしょう。

「バットってどうやって握るのがいいのか?」

指導者によって教える事に多少の違いがあるため、何がベストか落合氏の理論を見ていこう。



    -手のひらの真ん中で握ること


まず、落合氏は手のひらの真ん中で握るのが最も理想的であると話す。

これはバットを握る捕手寄りの手の役割が大きく関係している。

捕手寄りの腕はインパクトした際にボールを押し込む役割である。

このため、手のひらの中でも最も力が入る、つまり手のひらの真ん中で握ることが理想であると落合氏は話している。



    -握る力は"強すぎず、弱すぎず”


スムーズにバットを出すためには、力を入れすぎてはいけない。これは誰もが納得していると思う。

しかし、これはバットを握る手に置いても同様と落合氏は話す。


実際にやってみて欲しいが、手を力強く握った状態で、腕を柔らかく動かすことができるだろうか?

体は全て連動しているため、スムーズにバットを動かせるように手の握りも強すぎないほうが良い。

感覚としてはよく言われる「傘をさす感じ」というイメージが最もしっくりくると落合氏は話している。

ただ、力を入れすぎないと正確にバットをコントロールできない。

このため落合氏は両手の小指に力を入れていたと言う。

「両手の小指に力を入れておけば、残りの指を遊ばせ、手のひらに力を入れなくても、バットは自分の思いどおりにコントロールできるだろう」と話している。

このように小指に力を入れるイメージで握ると適度に力は抜け、バットもコントロールしやすくなるのである。

ちなみに、落合氏は現役時代はほぼ素手でバットを握っていた。このコントロールするという繊細な感覚を大切にしたかったからだという。


    -握る位置はグリップエンドいっぱいに


バットは短く持ったり、グリップエンドに小指を掛ける選手もいるが、落合氏は小指はかけず、グリップエンドいっぱいに握ることをおすすめしている。

その理由は、スイング時のパワーロス軽減バットの構造が関係しているという。

パワーロス軽減の観点では、小指をグリップエンドにかけて9本の指で握るよりも、しっかり10本の指で握ったほうがより力が伝わるということや
グリップエンドが出っ張っている分バットが滑らず、パワーのロスがなくなるからである。

よくグリップエンドに小指を掛けるとバットのヘッドを上手く抜くことができるなどという選手もいるが、それは個人の感覚であり、スイング自体が変化しているわけではないと落合氏は話している。

バットの構造の観点では、バット制作する職人の情報によると「バットは本来、グリップエンドいっぱいに握ってスイングすることを想定したバランスで作られている」と話しているため、バットの特性を最大限生かすには制作された想定通りにグリップエンドギリギリに握るべきなのである。


以上が落合氏のバットの握りについての理論である。


あくまでこれらは基本の形であり、それらを理解したうえで自分に合った握りに変えていくことについては落合氏も賛成している。

プロ野球選手がやっているからという理由だけで自分の握りをアレンジするのはおすすめしていないため、自分で基本の形を試してから試行錯誤していく必要がある。


|スイング参考動画


それでは、続編となる落合博満(13)もお楽しみに。

読んでいただき、ありがとうございました。

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