プロ野球史上1人しかなしえなかった3度の三冠王を獲得した落合博満。
読んでいただき、ありがとうございました。
今回はパート(1)に引き続き、打撃理論を紹介する。
|パート(1)の振り返り
そのためには深いトップをつくること、ムダなく一直線に振り出すこと、大きなフォロースルーをとることが大切であると話した。
|打撃理論(2)「目の使い方」
-今回は落合博満氏の第二弾であるため、もう少し具体的な理論について迫っていこう。
-今回は特に体の中でも最も繊細かつ、重要とされている”目”とバッティングについて落合博満氏の理論を紐解いていく。
-投手の動き、ボールの軌道を"景色”としてみること
落合氏は「投球を目で追っていくのではなく、投手のモーションから投げてくるボールの軌道までをひとつの景色として見ていくこと」が大切と話す。
その理由としては主に2点あるという
①ヘッドアップを防ぐ
ボールを正確に捉えるために最も基本となるのは「ボールの錯覚をできるだけ無くすことが大切」と落合氏は話す。しかし、常に投手は打者にボールを見にくくするフォームや技術を考えているため、目の錯覚で数mmであるがバットとボールにズレが発生し、ヒットが凡打になってしまう。
その際特に厄介になるのは、ピッチャーマウンドであるという。ソフトボールなどと違い野球はバッターより少し高い位置にマウンド(約25cm)がある。このため打者は少し頭を上に向けた状態でバッティングをすることとなる。特に身長の高い選手のオーバースローの場合、よりヘッドアップした状態となり、目の錯覚が生じやすくなる。
<身長193cmの大谷翔平選手。マウンド上からのオーバースローだと3m近くなる>
これを解消するために、打席ではピッチャー全体をぼんやりと景色として見ることでヘッドアップすることがなくなり、よりボールを両目でとらえることができるという。
②投手の動きの違いを見つけやすくなる
投手は小さなクセがあるため、それを見破り変化球やコースを読んで打者は打とうとする。しかし、クセは注意されて治ることもあるし、やっかいなことにクセを逆に利用して打者の裏を突いた投球をする投手もいる。
このため、落合氏はクセでなく”動き”の違いを捉えて打撃をおこなっていた。例えば、落合氏はこの投手は振りかぶるとバックスクリーンのこの位置にグラブが来るとか、体を沈めた時にバックスクリーンのこの広告の位置に来るとか、投球動作と球場を景色(1つ1つの絵のようなイメージ)で投手の動きをとらえていたという。
このように景色としてとらえると、指摘されても直しにくい投手の大きな動きの違いを見つけることができ、狙い球を絞ることができる。
落合氏はこのように投手・投球を見ていたため、あるときはチームメイトにある投手の動きの違いを教えたが、まったくチームメイトは分からなかったという。
<落合氏がその動の違いを見破ったという稲葉光雄投手。落合選手以外には分からない違いだったようだ。>
そして、投手の見方以外にもう一つ大切なことがあるという。
それは
-打撃での足場の作り方
である。
落合氏は、打席に入った際に前の打者が踏んだ後などを入念に足で消し、自分の足場を確認し、足場をしっかりとつくる。
これについて落合氏は「投手の動きを景色として正確に記憶するためには、常に自分が打席内で同じ位置に同じように立たなければいけない」と話す。
落合氏はそのためにオームベースよりのバッターボックスのラインを足で消したうえで、さらに自分の足場を入念に固めていた。
さらのこの準備作業では落合氏は「同じ打席内の位置に立つために、バッターボックスのラインでなく、自分の目を信じて立っていた」と話す。
バッターボックスのラインは試合前、試合中に人が引くものであるため、何らかの理由で誤差が発生するかもしれないということで落合氏は自分の目で位置を確認していたという。
そして足場をならす際には、常に両足の高さが平行になるまで土をかぶせたり、土を踏んだりして調整していたという。
さきほどのヘッドアップに加えて、他の人が掘った穴に足を置くとさらに高さが変わり目の錯覚が大きくなるためだという。このように落合氏ほどの技術のある選手でも、少しでも目の錯覚を減らすよう工夫をしている。
|スイング参考動画
それでは、続編となる落合博満(3)もお楽しみに。
読んでいただき、ありがとうございました。
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