プロ野球史上1人しかなしえなかった3度の三冠王を獲得した落合博満。
<大谷選手も所属するエンゼルスのスーパースターマイク・トラウト>
読んでいただき、ありがとうございました。
今回はパート(6)に引き続き、打撃理論を紹介する。
|パート(1)~(6)の振り返り
そのためには深いトップをつくること、ムダなく一直線に振り出すこと、大きなフォロースルーをとることが大切であると話した。
そのためには投手の動きとボールの軌道を"景色”としてみること。そしてバッターボックスの足場を常に同じ状態に整えることが大切であると話した。
そのためにはピッチャーの動きに対して始動を早めに取りゆとりを持つこと。そして意識は常に内角高めにおいておくことが大切であると話した。
構えてからスイングするまで、体の中心線は前後せず常に固定しておくこと。
自分のスイングができれば立ち位置はどこでもよい。ただ立ち位置を変えても自分のスイングは変えないよう意識する。
正しい壁の作り方としては、インパクトまでは壁を作ってしっかりボールを待つ。そして腕が伸びきったインパクト後はパワーを逃がすように壁を無くすことが大切である。
|打撃理論(8)「捕手側の腕の使い方」
-今回は落合博満氏の第七弾となる。落合氏の理論については1つずつ深く見ていきたいので長編となることをお許しいただきたい。
-これまではスイングのイメージ、立ち方、壁などについてみてきた。
-前回は"壁"、つまり下半身について理論を紹介したため、今回は上半身について落合氏の理論を紹介したい。
-スイングをよりスムーズに、そしてパワーを最大限にボールに伝える方法として、落合氏は捕手側の腕の使い方も大切と語る。
-捕手寄りのヒジを上手く抜く
ヒジを抜く。これが捕手寄りの腕の理想的な使い方であると落合氏は表現している。
ここでいうヒジを抜くとはどういうことか。具体的には書くと、スイング中スムーズに体の前を腕が通っていき、前に押し出していくことである。
<0:22あたり。右腕がきれいに体の前を通っている。>
それでは理想のヒジを抜く動作はどのように身につければ良いのか、2つのポイントに分けて解説していく。
①スイングする際に捕手寄りの腕は内側でたたむこと
しっかりヒジをたたまずスイングすると、バットが外側から回ってくるようになり、まっすぐボールに対してバットを出せないのはもちろん、ヒジを何とか抜こうとして体が開きすぎてしまう。
これでは確実性も長打も狙えないと落合氏は話している。
このため、しっかり腕を体にくっつけるようにたたんでスイングすることが大切なのである。
そして2つ目のポイントが
②投手寄りの腕をトップの位置に移動する際、肩も一緒に動かしてはいけない
ことである。
以前落合氏の理論で、トップを作る際は投手寄りの腕をめいっぱい捕手寄りに引くと書いた。
腕はめいっぱい引く必要があるが肩まで回さないように注意する。
強く思いすぎるあまり肩まで回してしまう選手がいる。
肩も回してしまうと、「自分の視界が変わり、ストライクゾーンのジャッジメントに狂いが生じる」と落合氏は話す。
さらにこの癖がつくと捕手寄りのヒジが上手く抜くことができなくなると落合氏は指摘している。
以上のように、2つのポイントを抑えると上手く肘を抜くスイングが可能となる。
ここでさらに落合氏は、左打者特有のクセについて話していた。
-左打者は特にヒジの抜き方に注意すること
である。
それは、左打者はよく肘の抜けが悪く、体を開きながら打つ打者が多いということである。
左打者は打った後1塁へ走るため、自然に打った後1塁方向へ体が開いたり、倒れたりしやすい。
このため、体を開いて肘を抜くスイングをしてしまいやすいという。
落合氏は、左打者がサウスポーを苦手にしている大きな原因として左打者は「体を開いてしまう打者が多いから」と話している。
特に左打者は肘の抜き方をしっかり意識してマスターしていく必要がある。
具体的な肘の抜き方は①と②で説明したが、最後にお手本になるような選手を紹介したい。
落合氏が挙げたのは外国人選手である。
外国人選手、特にアメリカのマイナー、特にルーキーなどは肘の抜き方を徹底的に教えられているという。
典型的な例として、現役の有名どころでいうとホームランを量産しているバレンティンやメジャーリーグのスーパスターマイク・トラウト選手は肘の抜き方が上手い。
日本人選手は構えの時点で脇を閉めていることが多いのに対して、この2選手をはじめとする外国人選手は脇を開けて構えることが多い。
こうすることでインパクトの時にスムーズに肘が体の前に入り、上手くヒジを抜くことができるのである。
|スイング参考動画
それでは、続編となる落合博満(8)もお楽しみに。
読んでいただき、ありがとうございました。
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