前田智徳 ~天才打者。タイミングはゆったりと~

ケガに泣かされた天才打者、前田智徳。 
今回はこの打者について打撃理論を紹介する。

 |特徴と成績

    -体格・生年月日
        -身長/体重:176cm/80kg
        -生年月日:1971年6月14日
        -投打:右投左打 -ポジション:外野(主にライト)

    -特徴
        -入団初年度からその打撃センスで頭角を現し、入団4年目には3割25本をクリアしたが、プロ6年目となる1995年目に右アキレス腱を断裂する大けがを負う。しかし、その後もコンスタントに打率3割をマークし、23年の現役生活で通算打率.302、通算295本塁打の確実性と長打力を兼ね備えた打者である。

        -その打撃技術から天才と呼ばれることが多く、3度の三冠王を獲得した落合選手からは「今の日本球界に、俺は2人の天才打者がいると思っている。1人がイチローで、もう1人が前田だ」と認められている。

        -また、イチロー選手からも「あの人(前田)のバッティングにはかなわない」と天才にも認められる類まれな打撃センスを誇る。

        -50歳まで現役投手であった山本昌はこれまで数多くの打者と対戦したが、前田選手を天才と認めている。過去に自身が投げた外角低めいっぱいのストレートを引っ張られ、ライトスタンドにホームランを放たれたことについて、「あのコースを引っ張ってライトスタンドに持って行くのはイチローや松井でも難しいと思います。」と天才打者としてコメントを残している。

    -主なタイトル・記録
        -ベストナイン(1992年 - 1994年、1998年)
        -ゴールデングラブ賞 (1991年 - 1994年)

     -通算成績 (打撃)
年度 所属球団 試合 打席 打数 得点 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 盗塁刺 犠打 犠飛 四球 死球 三振 併殺打 打率 長打率 出塁率
1990 広島東洋 56 45 43 15 11 3 0 0 14 5 4 1 1 0 1 0 3 0 .256 .326 .273
1991 広島東洋 129 465 395 54 107 21 1 4 142 25 14 10 30 4 31 5 57 4 .271 .359 .329
1992 広島東洋 130 585 493 82 152 23 3 19 238 89 18 4 30 6 54 2 51 7 .308 .483 .375
1993 広島東洋 131 568 499 85 158 33 2 27 276 70 10 1 2 3 61 3 63 3 .317 .553 .392
1994 広島東洋 123 554 492 66 158 26 0 20 244 66 4 3 2 3 57 0 56 12 .321 .496 .389
1995 広島東洋 25 99 86 15 22 4 1 4 40 11 3 0 0 1 10 2 12 1 .256 .465 .343
1996 広島東洋 105 435 396 54 124 20 2 19 205 65 0 0 0 3 34 2 61 10 .313 .518 .368
1997 広島東洋 100 419 382 55 116 23 1 15 186 68 1 0 0 7 28 2 35 7 .304 .487 .348
1998 広島東洋 127 551 504 71 169 36 0 24 277 80 5 2 0 2 41 4 54 8 .335 .550 .388
1999 広島東洋 108 428 392 53 118 17 0 12 171 65 1 1 2 5 25 4 36 8 .301 .436 .345
2000 広島東洋 79 284 262 32 62 14 0 13 115 44 0 0 1 3 18 0 39 6 .237 .439 .283
2001 広島東洋 27 30 27 1 8 2 0 0 10 7 0 0 0 0 3 0 3 2 .296 .370 .367
2002 広島東洋 123 462 422 50 130 11 1 20 203 59 0 1 0 2 37 1 38 11 .308 .481 .364
2003 広島東洋 128 473 427 50 124 14 2 21 205 71 2 2 5 3 35 3 45 10 .290 .480 .346
2004 広島東洋 121 438 407 45 127 28 1 21 220 70 2 0 1 2 23 5 38 8 .312 .541 .355
2005 広島東洋 146 590 540 77 172 25 1 32 295 87 1 2 0 0 44 6 43 9 .319 .546 .376
2006 広島東洋 134 522 472 66 148 22 1 23 241 75 2 3 2 3 40 5 42 6 .314 .511 .371
2007 広島東洋 124 446 414 41 118 17 0 15 180 71 1 2 0 4 20 8 31 12 .285 .435 .327
2008 広島東洋 84 186 174 11 47 4 1 4 65 29 0 1 0 2 8 2 24 4 .270 .374 .306
2010 広島東洋 68 86 77 5 17 3 0 2 26 19 0 0 0 2 6 1 19 2 .221 .338 .279
2011 広島東洋 52 51 44 0 11 3 0 0 14 13 0 0 0 1 5 1 8 2 .250 .318 .333
2012 広島東洋 56 56 49 1 16 4 0 0 20 19 0 0 0 2 5 0 5 2 .327 .408 .375
2013 広島東洋 12 12 11 0 4 0 0 0 4 4 0 0 0 0 0 1 2 0 .364 .364 .417
通 算 2188 7785 7008 929 2119 353 17 295 3391 1112 68 33 76 58 586 57 765 134 .302 .484 .358
(「一般社団法人日本野球機構公式HP」より引用)


|打撃理論

    -足を上げる目的はタイミングを合わせるためである。
  足を上げる動作は、スイングの勢いをつけるためでなく、投手とのタイミングをわせるために行う。自分にとってタイミングを取り易い上げ方を見つける必要がある。
    ※前田選手いわく「試合ではストレートや変化球などボールのスピードが常に異なるため、その変化に対応できるよう自分で足の上げかたや、踏み込み時の右足左足の体重配分を考える必要がある。」

    -ゆったりとタイミングを取るイメージ。
    前田選手いわく「タイミングはゆっくり取りたい。」とのこと。スイングするまではあくまでタイミングを取ることを最優先にし、ボールを待つという姿勢でトップまでつくる
 (ボールを待つ姿勢なので、もしインコースに直球が来た場合、差し込まれてしまう可能性が高くなる。しかし前田選手はインコースは詰まっても外野手の前にボールを落としてヒットにすればいいとのこと。インコースが来ても体を回しバットに当てさえすればいいという心構えである。)

    -スイングもゆったりと振り始めるイメージ。
  前田選手いわく「スイングもゆっくり」振るイメージでインパクト時は来たボールをバットで”払う”感覚とのこと。

|独自の練習

    -練習ではめいっぱいの力でスイングする。
    試合で力強いスイングできるように、練習からスイングの筋力を高めておかないといけないためである。練習ではいい当たりを狙うのではなく、正しいフォームで最大限の力でスイングし、ボールを遠くに飛ばすことを意識して打撃練習を行っている。
    ※王貞治選手やイチロー選手も同じ理論であり、練習では正しいバッティングフォームでボールを遠くに飛ばすことを意識している。

|スイング参考動画

|所感

    -誰もが認める天才打者ゆえに独特の打撃イメージであるが、すべての動きを参考にしたいと思えるような打者である。

    -あえて打撃理論をシンプルにまとめるならば、しっかりタイミングを合わせ」、「ボールに対しバットを体の内側から合わせるような感覚」と感じた。これにより、全くスイングの力感はなくとも確実かつパワーの伝わる打撃ができているようだ。

読んでいただき、ありがとうございました。

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