中島裕之 ~逆方向へ引っ張る~

日本を代表する打てるショート中島裕之。 
今回はこの打者について打撃理論を紹介する。

 |特徴と成績

    -体格・生年月日
        -身長/体重:180cm/90kg
        -生年月日:1982年7月31日
        -投打:右投右打 -ポジション:内野(主にショート、晩年はサード、ファースト)

    -特徴
        -広角にヒットを放ち、流して右方向への長打も得意としている。

        -バットを寝かしながらたかく掲げ、左腕で顔を隠すような構えが特徴であり、浅村栄斗選手と同様に外国人選手のようなフォームである。

        -打撃に関しては初級から積極的に打ちに行くスタイルである

        -選球眼もよく、四球が多いため最高出塁率のタイトルも2度獲得している(.410 2008年、.398 2009年)
 
    -主なタイトル・記録
        -最高出塁率 (2008年、2009年)
        -最多安打 (2009年)
        -ベストナイン (遊撃手部門:2008年、2009年、2011年、2012年)
        -ゴールデングラブ賞 (遊撃手部門:2008年、2011年、2012年))

     -通算成績 (打撃)
年度 所属球団 試合 打席 打数 得点 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 盗塁刺 犠打 犠飛 四球 死球 三振 併殺打 打率 長打率 出塁率
2002 西 武 4 7 7 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 2 1 .143 .143 .143
2003 西 武 44 98 89 12 23 3 1 4 40 11 1 2 0 0 5 4 22 0 .258 .449 .327
2004 西 武 133 559 502 70 144 22 3 27 253 90 18 2 3 4 39 11 108 7 .287 .504 .349
2005 西 武 118 444 405 56 111 21 2 11 169 60 11 3 3 3 22 11 67 17 .274 .417 .327
2006 西 武 105 459 412 76 126 22 1 16 198 63 14 4 0 4 30 13 66 12 .306 .481 .368
2007 西 武 143 593 533 68 160 28 5 12 234 74 9 4 1 5 41 13 134 15 .300 .439 .361
2008 埼玉西武 124 556 486 75 161 32 0 21 256 81 25 5 0 3 55 12 96 15 .331 .527 .410
2009 埼玉西武 144 648 560 100 173 31 3 22 276 92 20 12 0 3 75 10 113 17 .309 .493 .398
2010 埼玉西武 130 579 503 80 158 33 3 20 257 93 15 5 0 11 52 13 97 20 .314 .511 .385
2011 埼玉西武 144 633 566 82 168 27 1 16 245 100 21 2 0 11 44 12 93 11 .297 .433 .354
2012 埼玉西武 136 567 499 69 155 29 1 13 225 74 7 6 1 6 52 9 76 10 .311 .451 .382
2015 オリックス 117 483 417 43 100 19 0 10 149 46 1 2 0 1 53 12 93 10 .240 .357 .342
2016 オリックス 96 347 314 24 91 23 0 8 138 47 1 0 0 4 26 3 54 7 .290 .439 .346
2017 オリックス 124 489 431 36 123 19 0 9 169 49 0 0 0 5 46 7 93 11 .285 .392 .360
2018 オリックス 77 251 225 13 65 7 0 5 87 34 0 0 1 1 21 3 38 8 .289 .387 .356
2019 読 売 43 65 54 5 8 4 0 1 15 5 1 0 0 1 9 1 21 1 .148 .278 .277
2020 読 売 100 312 279 19 83 13 0 7 117 29 0 3 0 1 31 1 59 11 .297 .419 .369
通 算 1782 7090 6282 828 1850 333 20 202 2829 948 144 50 9 63 601 135 1232 173 .294 .450 .365
(「一般社団法人日本野球機構公式HP」より引用)


|打撃理論

    -構えた際は右脇を大きく開くが、スイングする際に右ひじを体にくっつける。
    中島選手いわく「構える時は脇が開いていますけど、打ちにいくときにはヒジが体について勝手に締まります」

(こうすることで、中島選手にとってはバットをスイングする際に、右肘を体にくっつけやすくなり、結果としてインサイドアウトのスイングができる。また右脇が開いた状態からスイング時に閉めることが加速が生まれスイングスピード向上に繋がる


    -バットの握り方は、バットが動くくらいゆとりを持って軽く握る。ただ、右の小指はギュッと締める。親指と人差し指のところはグラグラ動くくらい隙間をつくる。

    -インパクトの瞬間は右手の親指から人差し指の部分をあけておきゆとりを持たせておく。そしてインパクトの瞬間に全身でボールを押し返すイメージでスイングする。

 中島選手いわく「詰まっても衝撃がこないように、プロヒッター(親指につける柔らかい防具)をつけていますから、自然と隙間ができるんです。
そして、当たった瞬間にグンッと押してやる。インパクトの瞬間、衝撃でバットが押し戻されそうになるのを、これで押し返します。ドンッと全身で押す感じ。
そうすると手首もグンッと入って右手が伸びる。そして伸びきったら手首が返って、フォロースルーとともに自然と右手が離れていく感じ。」


    -流し打ちをする際は、右方向に引っ張るイメージ(右打者の場合)でスイングしている。
 中島選手いわく「外の球を右方向に長打を打つイメージとしては、実際に打席に立っている自分※1とは違うもう一人のバーチャルな自分※2を思い浮かべ、そのバーチャルな自分がライト方向に構えてスイングしているイメージ」

 ※1.実際に打席に立つスタンス
 ※2.バーチャルな自分のスタンス


|スイング参考動画


|考察

    -中島選手の独特な構えである右脇をおおきく開けたスタイル。これは中島選手にとっては、インパクト時に右脇を閉めてスイングでき、またスムーズにバットをボールに押し込む
スイングができる最良の構えである。いっぽう小笠原選手や中村紀洋選手など初めから脇を閉める選手は、脇を閉めて構えたほうがスムーズにスイングできるため、どちらが良いとかでなくスイングし始めるまでの動き(トップをつくるまで)は本人に合った構えを探しだす必要があると感じた。

 -中島選手の右方向に引っ張る感覚は独特だが、中島選手の言う「右を向いているバーチャルな自分がスイングするイメージ」は、実際には、「”バーチャルな自分"がスイングするバットの軌道に近いスイングを"実際の自分"がすること」つまり、より具体的には「体の後ろ(キャッチャー寄り)をミートポイントとし、そのポイントでスイングスピードが最大となるようスイングする」ことではないかと感じた。(これも人それぞれの感覚のため、何とも言えませんが。)

読んでいただき、ありがとうございました。

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