【野球×物理学】ボールを遠くに飛ばすためにはセンター方向へ?ホームランを出すための研究を紹介


この記事のまとめ

・打撃で「最も飛距離が出る方法」を物理学の研究を用いて説明してみた。

・センター方向に打球を飛ばすと他の方向と比べ、飛距離が出るという研究結果が出ている。

 

はじめに(どこを狙って打つのがいいか?)

打者ならだれもが望むでしょう

「より多くホームランを打ちたい」

「より遠くにボールを飛ばしたい」


これって、物理的に正しい打球を飛ばせば確率が高まるんです!

今回は、物理学を使って、”どこに飛ばせば最も飛距離がでるか”を研究した論文を見つけたので

今回はその研究内容とともに、どこに飛ばせば飛距離が出るかみなさんに紹介させていただきます!

知らないよりも知っているというだけで打撃の何かのヒントになると思いますので

感覚や練習も大切ですが、科学的な知識も味方につけ、一緒に打撃をよりパワーアップしていきましょう!

イリノイ大学と中央大学の研究(調査結果)

この章ではイリノイ大学、および中央大学での研究内容を説明します。

少し物理学的な話になるので、結論(どこに飛ばせば飛距離がでるのか)だけを知りたい方は読み飛ばして次の章「最も飛距離が出るのはセンター方向(結論)」をご覧ください。






イリノイ大学の研究(2020年実施)

2020年にイリノイ大学で研究された結果によると、打球はセンター方向がもっとも飛距離が出ると述べられています。


MLBのStatcastフライボールデータをもとに研究されました。


イリノイ大学のアラン・ネイサンはボールの飛距離はボールのスピンと関係しているという仮説を立て、打球確度、スピン速度、スピン軸を計測し、どの打球方向の時にもっとも飛距離がでるか研究しました。



簡単に説明すると、アラン・ネイサンは、投げられたボールに対するバットの角度の違いで、スピンの軸が変わり、それが飛距離に影響していると結論づけました。


具体的には、センター方向に打球が飛ぶ場合、ボールの進行方向に対して正面からバットが当たり、来たボールに対してほぼまっすぐの回転軸でボールのスピンが生み出されるため、回転軸がずれないことにより飛距離が出ます。


逆に右方向や左方向に打球が飛ぶ場合、ボールに対してバットが斜めから当たり、回転軸がずれ、サイドスピンがかかることにより飛距離が出なくなります。


つまり、サイドスピンになってしまうような、右方向や左方向は飛距離が出にくいということです。


※研究論文「Why Does a Fly Ball Carry Better to Centerfield?」(2020年 イリノイ大学)より







中央大学の研究(2018年実施)

2018には中央大学にて、打球方向と飛距離についての研究がされていました。


この研究では、バッティングにおけるレフト方向,センター方向,およびライト方向に向かうスピン特性を含む三次元野球運動学について述べらています。


軌跡はセンター方向と比較し、センター以外に向けた場合の方が相対的により湾曲していた。したがってセンター方向以外の打球にかかる直線距離は類似の初期速度と発射角度にもかかわらずより短い傾向があったと述べられています。


結論として、打球方向により、スピン特性、特にサイドスピン作用が異なり、これらの特性がボール軌道と飛行距離に影響することを発見したと述べられています。


つまり、この論文でも、サイドスピンになってしまうような、右方向や左方向は飛距離が出にくいということですね。


※研究論文「野球における三次元打球:効果飛行距離に対するボールスピンの影響」(2018年 中央大学)より



なんか少し難しいですが、要はセンター方向に打ち返した方が、キレイなスピンがかかって飛距離が出やすいってことを覚えておいてください!

それでは次章でまとめたいと思います。

最も飛距離が出るのはセンター方向(結論)

アメリカおよび日本の研究結果からも分かるように

引っ張りや流し方向への打球は、サイドスピンの作用により飛距離が出にくく、

センター方向への打球が、ボールに対してまっすぐなスピンがかかり、より飛距離が出やすいということですね。


そして、これらの研究からも分かるように、バットの速度や、ボールの角度が同じであればよりキレイなスピン(スライスしないようなスピン)をかけると飛距離がアップするというです。

ただスピンを強くかけるだけでなく、ボールに対してまっすぐスピンをかける意識も打撃では大切のようです。

昔から、”バッティングはセンター返しが基本”と言われていることもこのように物理学で裏付けされると「なるほど!」と納得しますね。
(落合博満氏が言っていた、「球場のセンター方向が広いのはセンターが最も飛距離が出るから。だから打撃はセンターが基本」という発言に繋がってますね)


日々の練習でも来たボールに対してまっすぐ打ち返す、まっすぐ回転を掛けるということを意識してバッティングしていくとよさそうですね!


今後も日本国内だけでなく、海外での分析結果や他分野での理論も野球と組み合わせて紹介させていただきたいと思います!

読んでいただき、ありがとうございました。

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