内川聖一 ~ストライクゾーンは自分で作る~

日本プロ野球史上、右打者最高打率をたたき出した内川聖一。 
今回はこの打者について打撃理論を紹介する。

 |特徴と成績

    -体格・生年月日
        -身長/体重:185cm/93kg
        -生年月日:1982年8月4日
        -投打:右投右打 -ポジション:内・外野(主にレフトorライト、晩年はファースト)

    -特徴
        -右打者史上最高打率記録保持(.378 2008年)、両リーグでの首位打者及び最多安打獲得者、歴代4位タイの7年連続打率3割達成者(右打者としては落合博満と並び1位タイ)、通算で8回の打率3割達成者(歴代14位タイ)など日本球界を代表する一流打者である。

        -打撃の特徴としては、ボールを体の近くまで引き付け、コースに逆らわず広角にヒットを量産する。


    -主なタイトル・記録
        -首位打者(2008年、2011年)
         ※両リーグでの首位打者は江藤慎一と内川の2人
        -最高出塁率(2008年)
        -最多安打(2008年、2012年)
        ※両リーグでの最多安打は張本勲と内川の2人のみ。
        -最優秀選手(2011年)
        -ベストナイン(一塁手部門:2008年 外野手部門:2009年、2011年 - 2013年)
        -ゴールデングラブ賞 (一塁手部門:2019年)

     -通算成績 (打撃)
年度 所属球団 試合 打席 打数 得点 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 盗塁刺 犠打 犠飛 四球 死球 三振 併殺打 打率 長打率 出塁率
2001 横 浜 3 2 2 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 .000 .000 .000
2002 横 浜 42 73 66 11 22 4 1 2 34 7 0 0 3 0 4 0 13 1 .333 .515 .371
2003 横 浜 45 161 150 20 47 5 0 4 64 18 4 4 6 0 5 0 13 1 .313 .427 .335
2004 横 浜 94 369 338 55 97 11 1 17 161 45 2 7 12 1 18 0 42 7 .287 .476 .322
2005 横 浜 90 262 234 33 64 11 0 5 90 23 1 1 6 1 19 2 36 10 .274 .385 .332
2006 横 浜 124 439 402 41 115 15 2 4 146 34 8 3 7 3 22 5 64 9 .286 .363 .329
2007 横 浜 92 274 247 24 69 17 3 7 113 29 3 4 4 1 16 6 37 9 .279 .457 .337
2008 横 浜 135 544 500 83 189 37 1 14 270 67 2 3 5 4 31 4 49 7 .378 .540 .416
2009 横 浜 132 552 503 65 160 32 2 17 247 66 1 5 2 4 42 1 56 16 .318 .491 .369
2010 横 浜 144 637 577 75 182 36 4 9 253 66 1 2 3 4 47 6 51 17 .315 .438 .371
2011 福岡ソフトバンク 114 463 429 48 145 21 3 12 208 74 4 0 0 7 25 2 48 3 .338 .485 .371
2012 福岡ソフトバンク 138 567 523 44 157 21 3 7 205 53 6 4 0 7 31 6 36 12 .300 .392 .342
2013 福岡ソフトバンク 144 633 570 76 180 33 1 19 272 92 1 0 0 5 46 12 47 23 .316 .477 .376
2014 福岡ソフトバンク 122 534 488 50 150 26 1 18 232 74 0 0 0 7 34 5 48 5 .307 .475 .354
2015 福岡ソフトバンク 136 585 529 60 150 24 1 11 209 82 1 0 0 7 45 4 55 24 .284 .395 .340
2016 福岡ソフトバンク 141 605 556 62 169 19 0 18 242 106 3 2 0 9 38 2 53 27 .304 .435 .345
2017 福岡ソフトバンク 73 300 266 31 79 13 0 12 128 50 0 1 0 2 32 0 26 9 .297 .481 .370
2018 福岡ソフトバンク 71 296 281 27 68 11 0 8 103 30 1 1 0 3 9 3 32 6 .242 .367 .270
2019 福岡ソフトバンク 137 535 500 49 128 21 0 12 185 41 3 0 1 4 28 2 49 16 .256 .370 .296
通 算 1977 7831 7161 855 2171 357 23 196 3162 957 41 37 49 69 492 60 755 202 .303 .442 .350
(「一般社団法人日本野球機構公式HP」より引用)


|打撃理論

    -トップからインパクトの動きについて、イメージはボールの最短距離でバット出し、 ボールを上から押さえにいくように振る
中村紀洋選手と似ている。Xで振る練習を実施。)

    -バットのスイングは基本を力を入れず、インパクトの瞬間のみ力を入れる
    (これにより、瞬発的な筋力を使いインパクト時のパワーを最大化できる。)

    -詰まることを恐れず、バットとボールのミートポイントを後ろにする。
    (こうすることで、少しでもプロのスピードや変化球に対応する時間を確保できる)


|独自の練習

    -Xで振る練習を実施
     これにより、バットにボールを最短距離であてにいくイメージを体に刷り込ませる
    (内川選手の場合はXのスイングでティバッティングも実施)

    -素振り練習では、インパクトの瞬間のみ力を入れるように意識し、ビュンと音が鳴る位置が自分のミートポイントと一致することを確認しながら振る。
    内川選手は、電気を消して音だけを聞きながら音を確認することもある。(こうすることでミートポイントで最大限のパワーが発揮できているか確認できる)

    -前に歩きながら振る練習を実施
     これにより、スイング時に軸となる右足から左足への体重移動を体に刷り込ませる(右打者の場合)

    -ワンバウンドしたボールをティーバッティングする
    バウンド後の微妙な変化に対応することで、ボールの変化を最後まで見てスイングすることができる
    -その他にも後ろからボールを投げてもらったり、上からボールを投げてもらうなど6種類のティーバッティングを実施

|打席での思考

    -シンプルイズベスト。シンプルに、”ピッチャーが投げてきたボールをバットの芯で簡単に捉えるにはどうすべきか”だけを考える。体は複雑に考えるとスムーズに動かないため、自分にあった感覚をできるだけシンプルにイメージしながらスイングすること。

    -審判が決めたストライクゾーンは自分のストライクゾーンではない
    自分が狙っているボールに対して、自分でストライクゾーンを作り、そこに来たボールを狙い打つ感覚。それ以外のコースに来たボールは捨てる気持ちにする。(例えば、外角狙いであれば一般的なストライクゾーンの外半分+ボールゾーンの半分のようにゾーンをつくる)

    -自分が狙うボールは、自分なりに理由を考えて狙うこと。狙いが外れても自分なりの考えをもって打席に立っているため、監督やコーチに後で理由を説明できる。

|スイング参考動画


|所感

    -独特の感性での打撃理論でした。同じ体の動きでも人それぞれの感じ方があるため、これは厳密にはその人にしか分からない。なので自分の感覚と自分の実際のスイングをビデオ等で見比べながら、自分に合った感覚を覚えていくしかないと感じた。
(これは指導者も同じである。指導者の感覚で伝えても選手に伝わるとは限らない)

    -私の独断ですが、内川選手は軽く両腕を絞りながら構えることでインパクト時に右ひじをしっかりたたむようにスイングできていると感じた。

 -またインパクトまではバットをストンと振り下ろしているようなスイングであるため、ミートする瞬間に力を入れやすいのではと感じた。(変にレベルスイングを意識したり、ボールの下を打ってスピンをかけるなど意識するとどうしてもミートポイントまでに変な力が入りそう)

読んでいただき、ありがとうございました。

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