金本知憲 ~骨折しても右手一本でヒット~

その屈強な体と、チームを背中で引っ張るイメージから鉄人・アニキと呼ばれている金本知憲。 
今回はこの打者について打撃理論を紹介する。

 |特徴と成績

    -体格・生年月日
        -身長/体重:180cm/88kg
        -生年月日:1968年4月3日
        -投打:右投左打 -ポジション:外野(主にレフト)

    -特徴
        -何といっても大きな特徴はフルイニング出場記録である。1492連続試合フルイニング出場と13686連続イニング出場は世界記録である。記憶に鮮明なのは、2004年に骨折しながらも片手でヒットを打ったことだ。


        -入団当初は体が細く、パワーもなかったため足を活かしたバッティングをするようコーチに指摘されるほどであった。しかし入団3,4年目からは本格的な筋力トレーニングで足腰の筋力アップをはかり、主に4,5番を任されるようになった2000年にはトリプルスリーを達成(打率.315、30本、30盗塁)

        -スイングスピードが速く、放たれた打球は低弾道だが伸びがあるため2005年には左打者は不利とされる甲子園の浜風を押しのけ、甲子園を本拠地にホームラン40本を放っている。

    -主なタイトル・記録
        -打点王(2004年)
        -最優秀選手(2005年)
        -ベストナイン(1995年、2000年、2001年、2004年 - 2006年、2008年)
        -[世界記録]:連続試合フルイニング出場(1492試合 1999年7月21日 - 2010年4月17日)
        -[世界記録]:連続イニング出場(13686イニング 1999年7月21日 - 2010年4月17日)


     -通算成績 (打撃)
年度 所属球団 試合 打席 打数 得点 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 盗塁刺 犠打 犠飛 四球 死球 三振 併殺打 打率 長打率 出塁率
1992 広島東洋 5 5 3 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 0 2 0 .000 .000 .250
1993 広島東洋 42 95 89 9 17 3 0 4 32 9 0 1 0 0 5 1 16 4 .191 .360 .242
1994 広島東洋 90 293 257 41 69 14 2 17 138 43 2 0 3 2 31 0 64 3 .268 .537 .345
1995 広島東洋 104 438 369 72 101 15 1 24 190 67 14 10 0 3 61 5 78 5 .274 .515 .381
1996 広島東洋 126 511 423 84 127 18 2 27 230 72 18 7 0 7 77 4 104 2 .300 .544 .407
1997 広島東洋 133 552 465 77 140 17 2 33 260 82 13 9 0 4 80 3 104 8 .301 .559 .404
1998 広島東洋 133 573 499 77 126 33 3 21 228 74 9 6 0 1 68 5 94 2 .253 .457 .347
1999 広島東洋 135 576 502 84 147 21 2 34 274 94 10 3 0 1 70 3 92 3 .293 .546 .382
2000 広島東洋 136 588 496 96 156 20 2 30 270 90 30 10 0 4 80 8 101 2 .315 .544 .415
2001 広島東洋 140 615 472 101 148 28 1 25 253 93 19 9 0 6 128 9 69 1 .314 .536 .463
2002 広島東洋 140 604 540 80 148 30 2 29 269 84 8 5 0 2 60 2 99 5 .274 .498 .348
2003 阪 神 140 632 532 94 154 24 2 19 239 77 18 4 0 2 93 5 89 6 .289 .449 .399
2004 阪 神 138 613 521 92 165 32 4 34 307 113 5 0 0 8 79 5 100 10 .317 .589 .406
2005 阪 神 146 662 559 120 183 35 3 40 344 125 3 1 0 2 98 3 86 6 .327 .615 .429
2006 阪 神 146 634 545 85 165 24 4 26 275 98 2 2 0 5 79 5 98 5 .303 .505 .393
2007 阪 神 144 624 533 74 141 17 3 31 257 95 1 0 0 7 81 3 113 9 .265 .482 .361
2008 阪 神 144 623 535 87 164 33 2 27 282 108 2 1 0 8 77 3 99 8 .307 .527 .392
2009 阪 神 144 619 518 66 135 37 0 21 235 91 8 1 0 8 88 5 98 7 .261 .454 .368
2010 阪 神 144 396 353 39 85 12 0 16 145 45 1 1 0 1 39 3 90 3 .241 .411 .321
2011 阪 神 122 372 348 27 76 11 1 12 125 31 1 1 0 0 24 0 53 5 .218 .359 .269
2012 阪 神 126 406 356 24 92 16 1 6 128 30 3 3 0 1 49 0 54 2 .258 .360 .347
通 算 2578 10431 8915 1430 2539 440 37 476 4481 1521 167 74 4 72 1368 72 1703 96 .285 .503 .382
(「一般社団法人日本野球機構公式HP」より引用)


|打撃理論

    -バットの軌道について、バットが体の近くを通るようにスイングする。
 スイングする際は、後ろの手(左肘)を意識する。左肘をへそにぶつけるように入れることでコック(押し込み)をする。
(左打者の場合。そうすることで左ひじをたたんでスイングでき、体の近くでバットをスイングできる)
    ※金本選手いわく「左肘が入ってこないといけない。俺の打ち方は左肘を入れてバットのヘッドを走らせようという技術である」

    -インコースを打つ際は、あえてボールから体を逃し、ボールとの距離を作る。そして左肘を体にくっつけながらスイングしていた。腕を“たたむ”イメージでスイングしていた。

    -アンコック、コックを利用。
トップの位置でバットを手前に寝かせるように"アンコック"しバットを振り出す際に左肘をたたみながら手首を使って"コック"する。
(これにより、自然にバットが内側から出すことができる。バットのヘッドのスイングスピードも早くなる)
※コックを利用する主な選手としては、落合博満中村紀洋、宮崎敏郎選手など


    -スイングのイメージはまっすぐ立って、まっすぐ回る
軸足を中心として足を使って腰を回すことで、体の強さがバットに伝わりやすくなる。
(金本選手が話した例としては、「石臼みたいに、下はドンとしているから回転力を増すことができる。腰をドンと置いたまま、体の反動を使わずに、その場で回転させようとしたらやっぱり足を使わないといけない。」)

    -軸足を中心にスイングするるため、スイングにおける体重のかけ方は後ろ足7、前足3
7:3くらいのイメージで打席に立っていた。しかし、実際には前の足にだいぶ体重はかかっているためあくまで本人のイメージである。
※落合さんは後ろの足に9:1という意識でちょうどいいという話をしていた。

|打席での思考

    -配球を読んで打ちに行く。
    金本選手いわく「俺には技術がないから、しっかり配球を読んで、キャッチャーのクセとか傾向を完璧に把握して、狙った球を確実に打とうというスタイルにしている。」とのこと。

|スイング参考動画


|所感

    -スイングスピードを最大にするため、軸足でしっかり回転すること、そして体の内から外にバットを出すイメージでスイングしていると感じた。
軸足でしっかり回転するために筋トレで強靭な足腰をつくり上げ、体の内から外にバットを出すためにコックや左ひじを”たたむ”ようにスイングしているようである。

読んでいただき、ありがとうございました。

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